京都の近代建築を考える会

近代建築を考える会です

宝温泉

第11回市民が選ぶ文化財
「宝温泉」

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宝温泉
所在地  京都市伏見区深草大亀谷西久宝寺
竣工年  昭和6年(1931年)
構造規模 木造平屋建一部地下1階
設計、施工者 不詳
所有者  村田初音
選考理由
JR奈良線に乗り、稲荷からJR藤森へ伏見丘陵の山裾をたどって、西側に国立京都医療センターが見える辺り、線路際にその建物は有ります。
少なくなったとは言え、伏見深草の地は旧陸軍師団の立地ゆえ、銭湯が今でも多く営業しています。
そんな中、ここ「宝湯」はその洋風のファサードゆえ、町の人々に特別な愛着を持たれています。
「宝温泉」は昭和6年に建てられました。開業時の名称を建物名とします。
設計、施工者は不明です。木造モルタル造りの和風建築ですが、三面を洋風にデザインした看板建築です。
近代化遺産調査によると、当初和風建築だったものが洋風に設計変更されたようだとのこと。
当初は2階に住居を計画していたものの、住居を別棟として、銭湯を平屋建てとしたため、脱衣場の天井を高くできたことから、気持ちの良い空間となりました。
外観に合わせた洋風の装飾もシンプルながら華やかな雰囲気となっています。
今回私たちは初めて銭湯を「市民が選ぶ文化財」の対象としました。
「宝温泉」は京都における洋風銭湯の数少ないひとつです。
「銭湯」自体も地域の社交と文化の場として、その重要性を認識されてはいても、営業的には苦しい状況です。
私たちは、この銭湯文化をなんとか盛り上げたいとの思いがあります。
「宝温泉」は昭和初期から変わらぬ佇まいを残し、街の風景として市民に記憶され、親しまれています。
町の人々のこの建物への変わらぬ愛着が、銭湯を暮らしの文化として残し、末永く町の一部であってほしいと願う全ての人々に伝わればと思い、ここに「市民が選ぶ文化財」として顕彰します。
2014年5月31日  京都の近代建築を考える会