京都の近代建築を考える会

近代建築を考える会です

旧商工無盡株式会社

第5回市民が選ぶ文化財
「壽ビルデイング」
旧商工無盡株式会社

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壽ビルディング

所在地  京都市下京区西木屋町通松原上る三丁目市之町251番7外
竣工年  1927(昭和2)年
構造規模 鉄骨鉄筋コンクリート造陸屋根5 階建
設計施工 山虎組
所有者   寿商事株式会社

選考理由
「壽ビルデイング」は1927年(昭和2年)、商工無盡株式会社本社社屋として、鉄筋コンクリート造陸屋根5階建で建築されました。
設計者は竣工記念のパンフレットを見ると山虎組とだけ記載され、個人名は不明です。施工も山虎組です。
所在地は登記上、西木屋町松原上る三丁目となっていますが、正面玄関は河原町通に面しており四条河原町を少し下った東側に建つそのロケーションは、京都市民の多くが名前こそ知らなくても、「ああ、あのビルか。」と思い出す、馴染みのある建物です。
竣工の1927年は今に残る京都の近代建築が輩出した年で、京都市役所(東半分)、東華菜館、島津製作所、若林仏具店(旧鴻池銀行七条支店)等の竣工がこの年です。
前年にはレストラン菊水、翌年には旧毎日新聞社京都支局が竣工しています。
建築主の「商工無盡株式会社」は銀行で、前述のパンフレットでは1階は銀行営業室であり、階上は事務室。
上の2階分は貸事務所になっています。豪華な撞球(ビリヤード)室もあったようです。
ファサードデザインは間口に比して背の高いプロポーションを手堅くまとめています。
1935年(昭和10年)に現在の所有者「寿商事株式会社」の所有となり、以後京都では数少ないオフィスビルとして75年にわたって大切に使われて来ました。
近年設備面の老朽化により、所有者は建替を検討された時期もあったようですが、テナントの方々が今の建物での入居を希望されたこともあり、大改築とも言うべき工事によって今後も長く使用できる建物に再生されました。
旧建物自体にはほとんど手を加えず、東側の所有地にバックアップのためのビルを建て(構造欄の「鉄骨」はこの新しい部分です)、エレベーター、階段や各階のトイレ等の必要な設備を収める手法は、今後も近代建築を使い続けていくためのモデルケースとしても重要です。
このように所有者やテナントの方々により大切にされ、四条河原町の繁華街にあって市民に親しまれている「壽ビルデイング」は「市民が選ぶ文化財」にふさわしい建物であり、「第5回市民が選ぶ文化財」に選定し、顕彰します。

2008年6月28日 京都の近代建築を考える会