京都の近代建築を考える会

近代建築を考える会です

旧山口銀行京都支店

第4回市民が選ぶ文化財
「flowing KARASUMA」
旧山口銀行京都支店

f:id:kyo-kindai-archi:20190209143019j:plain
旧山口銀行京都支店

所在地  京都市中京区烏丸通蛸薬師下る手洗水町
竣工年  1916(大正5)年 
構造   鉄筋コンクリート造陸屋根2階建
設計者  辰野片岡建築事務所
所有者  株式会社長谷ビル


選考理由
10年前、京都のメインストリート、烏丸通には全国の都市の中でも有数の近代建築の銀行が建ち並び、当時の都市銀行の各京都支店がそれぞれの意匠で近代都市としての京都を表現していました。
その中で北国銀行は唯一の地方銀行であり、各年代の代表作のような大建築のあいだにあって、かえって小振りで可愛い建物としてその存在を主張していましたが、今残っているのはこの現「flowing KARASUMA」と閉鎖されている旧三和銀行のみとなりました。
この建物は1916年(大正5年)、山口銀行京都支店として建てられました。本店は大阪です。
のちに山口銀行は合併して三和銀行となり、建物は最近まで北國銀行京都支店として使用されてきました。
設計は辰野片岡建築事務所です。いわゆる辰野式デザインの創始者で、その赤い煉瓦と白い石のデザインは明治後半、日本中の街の煉瓦造りの近代建築の典型でした。
構造は鉄筋コンクリートです。
時代が大正に入り、躯体が煉瓦造から鉄筋コンクリートに変わり、意匠も様式を脱してモダニズムへの道を走り始めていました。
前年には前衛的な現京都市考古資料館が建てられています。
その中にあって、躯体は鉄筋コンクリートでありながら煉瓦の意匠を纏い、彫りは浅いながらもきらびやかに飾り立てて、あたかも去りゆく明治を惜しむかのようなチャーミングな装いで「辰野式」の最後を彩っています。
所有者の株式会社長谷ビルはこの建物をそのままで利用したいと努力され、「flowing KARASUMA」としてカフェやリラクゼーションの店舗に再生され、より市民に身近な近代建築の在りかたの一例を示されました。
このように貴重な近代建築を維持、管理に努力されておられる「flowing KARASUMA」は私たち近代建築を愛する市民が「市民が選ぶ文化財」として顕彰するにふさわしい建築であり、ここに第4回『市民が選ぶ文化財』に選定致します。

2007年5月31日  京都の近代建築を考える会