家邊徳時計店
愛着を感じ、敬意を覚える近代建築の建物へ市民から賞を贈ります!
今までに表彰した「市民が選ぶ文化財」です。
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第1回市民が選ぶ文化財
「家邊徳時計店」
所在 京都市中京区三条通富小路東入中之町25
竣工年 1890(明治23)年
構造 煉瓦造2階建
所有宥 家邊喜久子
設計者 不詳
施工者 不詳
選考理由
「三条通」という時、市民の多くは寺町通と烏丸通の間の風景を想起するだろう。自分の住まう地域の街並みでは無い、少しあらたまった、それでいて何か懐かしい風景と感じることだろう。
また観光客にとっても、京都と言えぱ従来の近世以前の寺杜仏閣というイメージではないモダンな街並みとして認知されつつある。
そのような近代建築がよく残り、京都の近代皮を眼前にできる街、三条通の中でも、家邊徳時計店は格別に印象深い建物である。
明治の頃、三条通は京郁のメインストリートであった。
今に残る建物を指折っても日本銀行や郵便局等の公共建築やそれに準ずる建物が立ち並んでいる。
その中にあって、明治23年という時期に煉瓦造3階建で屋上に時計塔が立つという、これだけの規模の洋風の商店建築が建てられたのは画期的であった。
残された写真をみても、竣工当時は周囲から抜きんでて目立つ存在であったが、昭和30年頃に3階部分と時計塔が徹去されたのはかえすがえすも残念なことである。
設計者は不明で、例えばファサードの3連アーチを柱が受けていない等、きちんと西洋様式建築を学んだ者ではないと思われるが、煉瓦の積み方は巧みでしっかりしており、ルネサンス様式を墓調とした洗練されたデザインは群を抜いている。
建築史的にみればいわば擬洋風建築の末期に位置付けることが出来、その樟尾を飾るに相応しい完成度を持っている。
所有者の家邊氏は日本で3本の指に入る古くからの時計商で、現在も奥の町家に居住され、この建物に愛着を持ち続けておられる。今回の我々の選定の申出にも快く受諾され、プレートの貼付もご承諾いただいた。
このように、この建物は市民に街の風景として愛着を持って親しまれ、商店建築として歴史的な深みを持ち、デザイン的にも技術的にも大変優れているので、私達、京都の近代建築を考える会は、「家邊徳時計店」を第1回の市民が選ぷ文化財に選定いたします。
2004年5月29日 京都の近代建築を考える会