京都の近代建築を考える会

近代建築を考える会です

北白川を代表する住宅建築の特別公開

暑い夏が過ぎ、秋の訪れを感じるようになりました。
駒井家住宅秋の特別公開のお知らせです。

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「北白川を代表する住宅建築の特別公開」
www.national-trust.or.jp


駒井家住宅では、秋の特別公開兼国際博物館会議(ICOM)京都大会開催記念イベントとして,隣の喜多源逸邸(藤井厚二設計)と小林家(増田友也設計)をあわせて見学できる特別公開を実施いたします。
3館が共同見学できる初めての機会となりますので、北白川地域の特徴を背景に息づいたそれぞれの建築の魅力をお楽しみください。
※駒井家住宅と喜多源逸邸は内部をご見学いただけますが、小林家はお住まいなので内部は入れません。敷地外からのご見学となります。

【日 時】9月8日(日)10:00~13:00(13:30閉館)
     ※駒井家住宅で3館共通見学チケットをお買い求め下さい。
【会 場】駒井家住宅(京都市左京区北白川伊織町64)、
     喜多源逸邸、小林家
     ※小林家は敷地外からのご見学となります。
【料 金】1,000円(3館共通見学料)、小学生以下:無料(要保護者同伴)
  予約は不要ですが、10名以上の団体の場合は事前申請が必要です。問合先まで事前にご連絡ください。
【備 考】公益財団法人日本ナショナルトラスト(JNT)
  入会キャンペーン実施中
  特別公開中にJNTにご入会いただくと、駒井家住宅オリジナルポストカードをプレゼント!
  この機会にぜひご入会ください。
【問合先】公益財団法人日本ナショナルトラスト TEL:03-6380-8511     
     駒井家住宅(公開日のみ)       TEL:075-724-3115

京都の近代建築通信・100号

通信100号を発行しました。


暑い日が続いて干からびてしまうんじゃないかと思っていたら、今度は雨続きで肌寒い。
みなさま体調は崩されていませんか。
今年も総会の季節になりました。
「市民が選ぶ文化財」サミットを延期とさせてもらいましたが、ではいつ開催するのか?と問われると難しい状況です。
総会の場で情報交換・意見交換ができればと思っています。
みなさま、大いにご参加下さい。
そして見学会や勉強会の企画(アイディア出しも!)に参加して近代建築にまつわるあれこれを楽しみましょう。(事務局)

◆第25回 京都の近代建築を考える会 総会 案内
 2019年6月29日(土) 15:00~17:30
 atバザールカフェ (地下鉄今出川駅徒歩2分)
 15:30~16:00 総会
 16:00~17:00 「神戸・兵庫の保存運動を振り返って」
 話題提供:中尾嘉孝さん(港まち神戸愛する会、ひょうごヘリテージ機構)
◆通信100号に寄せて
◆辻商店最終見学会 報告

 

辻商店ウォッチングのご案内

辻商店(辻德)ウォッチングのご案内です。
kyo-kindai-archi.hatenablog.com

第9回「市民が選ぶ文化財」に選定した辻商店さんが建物を手放されることになり、すでに2月末で営業を終了されています。
今回、辻さんのご厚意で、建物を見学させていただけることになりましたので、是非ともご参加ください。

日時 2019年3月23日㈯午前10時
場所 辻商店 堀川四条下る西側

できるだけ時間厳守でお願いします。
当日の連絡 090-6254-6679青谷まで

宮川美髪館

第13回市民が選ぶ文化財
「宮川美髪館 」

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宮川美髪館

所在地  京都市下京区油小路通綾小路上る石井筒町
竣工年  昭和2年(1927年)
構造規模 木造2階建
設計、施工者 不詳
所有者  宮川雅次
選考理由
京都の中心、下京の鉾町から少し西、油小路と綾小路の角に一度目にしたら忘れられない、ずっと記憶に残る可愛い理容店、宮川美髪館があります。
腰までの濃い茶色のタイルの上部に黄土色のタイルを貼り、四隅や窓、玄関周りはアイボリーの額縁でアクセントを付け、玄関上に右書きで「美髪館」の看板がテラコッタで埋め込まれています。
屋根は鋼板葺きの陸屋根で、軒先にはエンタプラチュアとしての装飾(帯状装飾)が施されるなど、木造ですがあくまで洋館であることを主張する長方形の箱。
今でも町家が多く連なる街の角地にあって、この建物の存在感は際立っています。
建てられたのは昭和2年、施工者は不明です。
間口5間、奥行1間半と極端に扁平な建物で、1階を店舗、2階を住居として使われており、台所等の水回りは北側の附属する平屋に納め、その階上を物干台にしています。
1階の店舗内部も建築当時の内装がよく残されており、床や壁のタイル。
鏡や木製の脇棚など、昭和初期にはさぞハイカラであったであろう当時の様子をそのままに使い続けておられます。
この建物のように、市内の通りの角地には理容店が多く見られます。
これは理容店が小規模な土地で営業できる業態であり、敷地が小さくなりがちな通りの角地に、他の業種に比べ営業しやすいことがあったと思われます。
また落語の「浮世床」にもあるように、庶民のたまり場、情報源としての立地の便もあるかも知れません。
宮川美髪館はそのような理容店の洋館建ての典型として今も営業されています。
所有者の宮川雅次氏はこの建物にひとしおの愛着をもたれ、陸屋根の銅板の葺替に際しても鋼板で葺かれるなど、できるだけ現状を維持し、この建物を大切に守ってこられました。
このように、「宮川美髪館」は昭和初期から変わらぬ佇まいを残し、街の風景として市民に愛され、親しまれています。
何よりこの建物が所有者の愛着とともに使われ続けていることは、私たち近代建築を愛する市民が「市民が選ぶ文化財」として顕彰するにふさわしい建築であると考え、ここに選定し、顕彰いたします。
2016年6月4日  京都の近代建築を考える会

株式会社モリタ製作所

第12回市民が選ぶ文化財
「株式会社モリタ製作所機械工場」

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モリタ製作所

所在地  京都市伏見区西浜町720番地
竣工年  大正2年(1913年)頃
構造規模 煉瓦造2階建
設計、施工者  不詳
所有者  株式会社モリタ製作所
選考理由
京阪中書島駅から古い伏見の街並みを西へ注意深く歩くと、突然工場の正門を通して、その奥に姿を見せる美しい建物があります。
赤い煉瓦に白い石積が装飾的で、一見オランダの住宅のようなお洒落な工場、株式会社モリタ製作所機械工場です。
この建物は京都電気株式会社の火力発電所として明治44年(1911年)着工され、大正2年(1913年)頃完成しました。
もっとも、その前年には発電事業ごと京都電燈株式会社への売却が決まっており、実質的には京都電燈伏見第二火力発電所として稼働しました。
設計者、施工者は不明ですが、京都工芸繊維大学の石田潤一郎教授の研究により、設計者は河合浩蔵ではないかとのことです。
建物は東西2棟に分かれ、平屋の西棟にボイラーを据え、東棟の2階に発電機を置いていたようで、棟の高さも、デザインも異なっているので、建築時期が違う可能性もありますが不詳です。
煉瓦造で、鉄骨トラスで支えられた切妻屋根が載り、当初は桟瓦葺だと思われますが、現在は鉄板葺です。
東棟は赤と白のコントラストで華やかに装飾され、とても産業施設とは思えぬ優美さです。
特に妻面のデザインの密度が濃く、オランダ・ルネッサンス様式の影響を感じます。
対して西棟は典型的な煉瓦造の工場建築で装飾も煉瓦積による迫出しゲイソン程度で、その質実剛健さは東棟と好対照をなしています。
モリタ製作所(当時は森田製作所)はこの建物を昭和18年に購入以来、工作機械製造所として利用されてきました。
現在は西棟を機械工場、東棟の1階を資料室、工具室に、2階は社員食堂等となっています。
外壁に大きな改変は無く、内部も必要以上の改築はされず、長年大切に使われて来たことがうかがわれます。
このように、「株式会社モリタ製作所機械工場」は大正期から変わらぬ佇まいを残し、所有者によって愛着を持って使い続けられています。
工場建築ですので市民がこの建物と直接ふれあえる機会はあまりありませんが、伏見の産業遺産としてこれほどの建物が存在することは誇りに思って良いことだと思います。
この建物が今後もモリタ製作所のみならず、市民が誇りに思う伏見の名建築のひとつとして生きていくことを願い、ここに「市民が選ぶ文化財」として選定し、顕彰するものです。
2015年5月30日  京都の近代建築を考える会

宝温泉

第11回市民が選ぶ文化財
「宝温泉」

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宝温泉
所在地  京都市伏見区深草大亀谷西久宝寺
竣工年  昭和6年(1931年)
構造規模 木造平屋建一部地下1階
設計、施工者 不詳
所有者  村田初音
選考理由
JR奈良線に乗り、稲荷からJR藤森へ伏見丘陵の山裾をたどって、西側に国立京都医療センターが見える辺り、線路際にその建物は有ります。
少なくなったとは言え、伏見深草の地は旧陸軍師団の立地ゆえ、銭湯が今でも多く営業しています。
そんな中、ここ「宝湯」はその洋風のファサードゆえ、町の人々に特別な愛着を持たれています。
「宝温泉」は昭和6年に建てられました。開業時の名称を建物名とします。
設計、施工者は不明です。木造モルタル造りの和風建築ですが、三面を洋風にデザインした看板建築です。
近代化遺産調査によると、当初和風建築だったものが洋風に設計変更されたようだとのこと。
当初は2階に住居を計画していたものの、住居を別棟として、銭湯を平屋建てとしたため、脱衣場の天井を高くできたことから、気持ちの良い空間となりました。
外観に合わせた洋風の装飾もシンプルながら華やかな雰囲気となっています。
今回私たちは初めて銭湯を「市民が選ぶ文化財」の対象としました。
「宝温泉」は京都における洋風銭湯の数少ないひとつです。
「銭湯」自体も地域の社交と文化の場として、その重要性を認識されてはいても、営業的には苦しい状況です。
私たちは、この銭湯文化をなんとか盛り上げたいとの思いがあります。
「宝温泉」は昭和初期から変わらぬ佇まいを残し、街の風景として市民に記憶され、親しまれています。
町の人々のこの建物への変わらぬ愛着が、銭湯を暮らしの文化として残し、末永く町の一部であってほしいと願う全ての人々に伝わればと思い、ここに「市民が選ぶ文化財」として顕彰します。
2014年5月31日  京都の近代建築を考える会

紫明会館

第10回市民が選ぶ文化財
「紫明会館」

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紫明会館

所在地  京都市北区小山南大野町1番地
竣工年  昭和7年(1932年)
構造規模 鉄筋コンクリート造3階建
設 計、施 工 者 清 水 組
所有者  特定非営利活動法人リアル・リンク京都

選考理由
南禅寺水路閣から京都市街を北へ大きく廻り、やがて堀川に合流する疎水分線はその末端で紫明通として道幅を大きく広げ、中央に公園のような植樹帯を設ける、京都では珍しい景観となっています。
その紫明通の北側にスパニッシュの瀟洒な装いを凝らした「紫明会館」が建っています。
この建物は昭和7年京都府師範学校、現在の京都教育大学の創立50周年を記念し、教育、研修の場を社会に提供することを目的として同校同窓会が建設しました。
「紫明会館」という名称もこの時、一般募集により命名されました。
設計、施工は清水組。工事監督として京都府の営繕技師、十河安雄が委嘱されていますが、十河が設計にどれくらい関わったかは不明です。
荒いベージュの塗り壁に箱を積み重ねたような素気ないほどの外観ですが、スペイン瓦を要所に使い、アーチ窓でお洒落にまとめています。
竣工当時、1階は食堂とビリヤード室、2階は和室、談話室、3階は講堂とされていましたが、現在も1階の一部以外はほとんど改造されず、内部の装飾的要素は少ないものの、アールデコの雰囲気をよく伝えています。
「紫明会館」は長年、京都教育大学同窓会の同窓会館であるとともに、設立の趣旨のとおり市民の文化活動の拠点として永く使われ、親しまれてきましたが、国の機構改革によって同窓会による維持管理ができなくなり、建物自体の存続が危ぶまれていました。
今年になり、非営利活動法人リアル・リンク京都がこの建物を引き受けられ、デイサービス事業を中心に、市民への貸しスペースとして引き続き利用されることになりました。
外観、内装ともできるだけ手を加えずに使われており、近代建築を使い続けるための、ひとつのモデルケースとなるものです。
このように、「紫明会館」は昭和初期から変わらぬ佇まいを残し、街の風景として市民に記憶され、親しまれています。
そして、この建物への愛着が、次の所有者に受け渡され、使われ続けていることは、私たち近代建築を愛する市民が「市民が選ぶ文化財」として顕彰するにふさわしい建築であり、ここに選定致します。
2013年6月22日  京都の近代建築を考える会